2017年9月12日火曜日

孫子の兵法 謀攻編その2

2、上兵は謀を討つ。

相手の狙いを外すと勝ちやすいという事。相手の意図を読み取り、その上で邪魔をする。成功すると、邪魔された相手はやりにくさを感じるもので、心理的に劣位に立つ。将棋などボードゲームの経験があれば、相手の狙いを外すと勝ちやすい事は実感できるのでは無いだろうか?

相手の狙いには、それ相応の準備がしてあるものである。それに乗ってでも勝つのは漫画の主人公的でカッコいいかも知れないが、現実には愚かな行為となる。如何に被害を少なく勝てるかが、将の腕の見せ所と考えよう。相手が用意周到に準備している所に攻めては、相手はミスはしてくれない。何せ日々訓練だってしているのだ。相手にとって未知の領域だからこそ、見落としからミスをしてくれると知れ。

だから孫子は言う。城攻めは愚かな行為であると。城を攻めるための攻城兵器の準備に3か月かかる。土塁を築けばさらに3か月。その間に現場の将軍が血気に盛り兵を大きく失いかねない。そのコストを考えれば、城攻めは褒められた攻め方ではなく最終手段であると。

まずは相手を知り、同盟があればそれを分裂するべきだし、国内がまとまっているなら国内を割くべきである。歴史的にはキリスト教の宣教師がこれを上手くやってきた。キリスト教の布教は工作員の現地雇用の意味合いがあり、国への忠誠心をキリスト教への忠誠に変えさせる狙いがある。その後、キリスト教徒に謀反を起こさせ国内を分裂し、その間に正規軍を送り攻めるのだ。

例えば、今ハワイはアメリカの一部だが、そうなった背景にキリスト教宣教師の暗躍があった。他にも、つい先日、中国でキリスト教への弾圧があったようだが、中国が何故新しい教会の新設を認めないのか。其処ら辺を感じ取れるだろう。中国はバチカンによる内部侵略に警戒しているのである。中国のキリスト教徒は1億人前後とみられ、弾圧を受けながら信者が増加している模様。日本では目立たないが、中国共産党の戦いはここにも見てとれるのである。先日のキリスト教弾圧も、上兵は謀を討つという観点で押さえると見方が変わってくるだろう。

ビジネスで言えば、コストリーダーシップ戦略にしても、差別化戦略にしても、相手の狙いを外すという部分はあるだろう。ニッチ市場で勝負するのも、大手の狙いを外したとも言えるし、相手の企業と同じ路線で競争するだけが能では無いという事を確認しておきたい。

人間関係で言えば、単純に悪口の場にはいないのも狙いを外すと言える。悪口の場で一緒に悪口を言ってると、後で陰口されたり良い事は無い。一番良いのはそういう場に居合わせないことで、悪口を言っている所を見た事がない人間になる事である。例え陰口されても、それが嘘に聞こえるような人格を作り上げたい。



3、戦わずして勝つ。

戦わずして勝つことが最良なのは言うまでもない。戦えば損害は必ずでる。損害が一切でない戦わずして勝つ事の何と素晴らしい事か。戦いは戦う前に勝負がついている事を意識し、相手には知恵を以って勝つ事を心がけよう。

なお、戦わずして勝つ時に最上となるのは、相手の戦う意思すら無くす事である。それには心を磨かねばならない。悪い奴では、こいつは許せないという理由で戦いが起きる。良い奴だからこそ、戦う理由がなくなり、戦う意思が薄れていくのである。これに強さが備わると、文字通り敵がいない無敗の境地となる。戦う理由もないのに、相手が強いと分かると人間は戦う気にならないのだ。ある名門の家が「まずは雄たれ。その後、心を磨け」と教える所以である。

ビジネスで考えて見よう。会社は末端の社員を見れば、その会社の姿が分かると言われる。良くも悪くも、末端の社員に会社の倫理観や、教育の度合いがでてしまうからだ。自社の社員は周りからどう見えるか?恥ずかしくないか?会社の姿は末端の社員という話を見返しておきたい。会社が社会で受け入れられるためには、こういった部分こそ大切なのだから。






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