1、人を致して人に致されず。
孫子曰く。「およそ先に戦地に処りて敵を待つ者は有利であり、遅れて戦地に処りて戦いに赴く者は労する。故に善く戦う者は、人を致して人に致されず。善く敵人をして自ら至らしむるは、これを利すればなり。善く敵人をして至るを得ざらしむるは、これを害すればなり。故に敵、佚すれば労し、飽けば飢えさせ、安ければ動かす。」
【解説】
およそ先に戦地に着き、敵を待つ者は有利となる。理由は、それだけ準備ができるからである。地形から有利なポジションに陣取る事が可能だし、逃げ道の確保、砦の増設など、余裕をもって万全の態勢を築く事ができる。そのため、遅れて戦地に着くという事は、その分苦労する事を意味するのである。故に戦上手は、人に致される事を良しとせず、常に相手より有利なポジションをとる事を心がけるのだ。
また、戦争の勝利は敵の不敗の態勢を崩す事で得られるのだから、計略により敵自ら不敗の態勢を崩すように仕向けるのが得策となろう。例えば、敵が作戦行動をとったほうが有利と錯覚させることができれば、敵を動かす事ができる。逆に敵に害を示す事で、敵に作戦行動を断念させることもできる。害を示すことで、敵の動かない事の利が強調されるからである。
故に、敵が休息十分なら疲れさせるように、食料十分なら飢えるように、態勢が十分なら態勢を崩すように仕向けるのである。
孫子の根底にある考え方
これを踏まえて読めば、何故孫子が「人を致して人に致されず」と言っているのかの理解の助けになるだろう。勝利は自ら勝ち取ると言うニュアンスよりは、相手の崩れによって得られるもの。そのため、相手の利を操作することで、相手の崩れを誘うのである。時には利を示し敵を誘い、時には害を示し敵を束縛する。敵に主導権を渡さぬ事が肝要という教えとなる。
仕事でも、昔から上司の先回りして動けと言うが、上司のやりたい事を察し予め準備しておいたり、躓きそうな石があれば拾っておく事はとても大切である。と言うのも、人が人を評価する時、気が利くかどうかに大きなウエイトがあるもの。
自分に与えられた仕事が幾ら出来ても、他人のフォローが出来ない人は仕事ができないというレッテルを貼られる事もある。かと言えば、実際の実力がそれほどでも無いにも関わらず、周りのフォローをしっかりし、常に笑っているだけで高評価になってしまうのが人情だ。人に致して人に致されず。常に相手の風上を心掛けていきたい。
孫子曰く。「およそ先に戦地に処りて敵を待つ者は有利であり、遅れて戦地に処りて戦いに赴く者は労する。故に善く戦う者は、人を致して人に致されず。善く敵人をして自ら至らしむるは、これを利すればなり。善く敵人をして至るを得ざらしむるは、これを害すればなり。故に敵、佚すれば労し、飽けば飢えさせ、安ければ動かす。」
【解説】
およそ先に戦地に着き、敵を待つ者は有利となる。理由は、それだけ準備ができるからである。地形から有利なポジションに陣取る事が可能だし、逃げ道の確保、砦の増設など、余裕をもって万全の態勢を築く事ができる。そのため、遅れて戦地に着くという事は、その分苦労する事を意味するのである。故に戦上手は、人に致される事を良しとせず、常に相手より有利なポジションをとる事を心がけるのだ。
また、戦争の勝利は敵の不敗の態勢を崩す事で得られるのだから、計略により敵自ら不敗の態勢を崩すように仕向けるのが得策となろう。例えば、敵が作戦行動をとったほうが有利と錯覚させることができれば、敵を動かす事ができる。逆に敵に害を示す事で、敵に作戦行動を断念させることもできる。害を示すことで、敵の動かない事の利が強調されるからである。
故に、敵が休息十分なら疲れさせるように、食料十分なら飢えるように、態勢が十分なら態勢を崩すように仕向けるのである。
孫子の根底にある考え方
- 不敗の態勢は作れるが、必勝の態勢は作れない。
- 戦いは戦う前に勝敗は決している。
これを踏まえて読めば、何故孫子が「人を致して人に致されず」と言っているのかの理解の助けになるだろう。勝利は自ら勝ち取ると言うニュアンスよりは、相手の崩れによって得られるもの。そのため、相手の利を操作することで、相手の崩れを誘うのである。時には利を示し敵を誘い、時には害を示し敵を束縛する。敵に主導権を渡さぬ事が肝要という教えとなる。
仕事でも、昔から上司の先回りして動けと言うが、上司のやりたい事を察し予め準備しておいたり、躓きそうな石があれば拾っておく事はとても大切である。と言うのも、人が人を評価する時、気が利くかどうかに大きなウエイトがあるもの。
自分に与えられた仕事が幾ら出来ても、他人のフォローが出来ない人は仕事ができないというレッテルを貼られる事もある。かと言えば、実際の実力がそれほどでも無いにも関わらず、周りのフォローをしっかりし、常に笑っているだけで高評価になってしまうのが人情だ。人に致して人に致されず。常に相手の風上を心掛けていきたい。
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