2017年9月14日木曜日

孫子の兵法 謀攻編その4

6、彼を知り己を知れば、百戦して危うからず。

彼を知り己を知れば、百戦して危うからず。己を知り彼を知らなければ、勝敗は5分となる。己をも知らず彼も知らないなら、必敗す。

情報の大切さを謳った言葉で、相手の強み弱み、自分の強み弱みをまず把握して、話はそれからという意味となる。相手の方が強いなら戦争するべきではないのだから、国力の差を縮める事を考えるべきだろう。相手より強いなら、戦争を含めた選択肢を考えても良いだろう。

孫子は「百戦して危うからず」と言うが、孫子の性格を考えれば、これは百戦もすることは無いというニュアンスで受け取って良い。国力の差を把握し、それをもとに知恵によって戦わずして勝つ。勝算がないなら戦わない。戦火はコストが増すばかりなのだから、戦火を交えるのは極力避けようという前提を踏まえて理解していきたい。こう解釈するならば、「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」は血気に盛り戦火を交える事を戒めた言葉ともなるのである。

外交交渉の甲斐なく戦火を交える場合も、相手の5倍の戦力を確保し、圧倒的攻勢から損害を少なくする事が大切なのは先述した通りである。故に100戦危うからずなのだ。



孫子の5つのチェックポイント

  • 彼我の戦力を検討し、戦うか否か検討出来る事。
  • 兵力に応じた戦いができる事。
  • 君主と国民がまとまっている事。
  • 万全の態勢を踏まえて、敵の不備をつける事。
  • 将が有能で、君主が口出しをしない事。



最後に将棋の故・米永邦雄永世棋聖の話を紹介しよう。彼は言う。どんな棋士もプロであるからには、負けた時に何故負けたかくらいは考える。しかし、勝った時に何故勝てたのかを考える棋士が少ない。ここが棋士の差となるのであると。

彼を知り己を知るとは、良きも悪きも須く把握すべきという事。反省を怠らない事はとても大切だが、自画自賛も同様に大切なのである。自分の何が悪くて失敗したのかに加えて、自分の何が良かったから結果がついてきたのかも、しっかり把握すると良いだろう。結果が付いてきたのは、自分の良い処が故だ。それが分からなくては、安定した勝率は望めまい。結果がでたのは、自分の悪い処を補って余りある良い処があるから。その事を忘れずにしたい。

「勝って不思議の勝ちあり。負けて不思議の負けなし。」反省の大切さを伝える江戸時代から伝わる言葉だが、よく見ると負けた理由の他に、何故勝ったのかもしっかり分析している事に気づきたい。





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