2017年9月6日水曜日

孫子の兵法 始計編

孫子の兵法は有名だが、自分は学んだことが無かったため、一通り目を通して見る事にした。守屋洋の孫子の兵法が家にあったので、これを参考にし、ネットで知識を補完しながら、孫子の兵法を自分なりに考え解説してみたいと思う。




まず始計編を読んで見て、当たり前と言えば当たり前の事を書いてあるという印象だが、何故孫子が有名なのかを考えて見た時、恐らく2000数百年前に戦争を様々な要素に分けて分析する手法を思いついたからであろう。

戦争して勝てるかを考える時、初心者なほどざっくばらんに成りがちである。勝ちそうだとか、やって見なければ分からないとか、逆に相手のほうが強そうだとか、根拠の薄い空を掴むような話になる。孫子の凄かったのは、此処に優れた分析的なアプローチを施した事だろう。

ざっくばらんだった相手の国と自分の国の国力を、分野ごとに分け計ることで国力をより具体化した。また、過去の経験を洗い出し、国はどのような状態に陥ると負けるとか、どのような状態の時は勝てるとか、人が陥りやすい落とし穴は何かとか、戦争に対し今の言葉で言うマニュアル的なものを人類で最初に作り上げた事に孫子の偉大さを感じる。以下、孫子曰くの部分は水色で、その下に解説を加えていく。



1、兵は国の大事である。

この場合の兵とは戦争となる。戦争は国の一大事であるから、慎重な判断が求められるという事のようだ。当然と言えば当然の話に見える。少し穿った味方をすれば、相手の慎重な判断を邪魔する事が良い攻めという事だし、自らの君主が若しくは政治システム、政治家が優れていなければ国は亡ぶという警告ともなる。

ビジネスに当たっては、経営者自らの責任の重さを確認するとともに、社内の内部統制を見直すキッカケにしたい。



2、戦力には5つの基本問題がある。

5つの基本問題とは道、天、地、将、法になる。道は君主と民衆の気持を一体化させるものらしいので、今でいう宗教観のようなものだろう。要は善悪の価値基準を統一する事が全体の士気に影響を与えるのは当然の事なのだから、道をしっかり教育すべしと言うのだろう。日本では騙す人が悪いが、中国では騙されるほうが悪いと言われる。どちらが良いかは置いておいても、これを統一しないと国は一丸になれない。何を言っても国民の意見が割れてしまうのだから。そういうイメージと思う。

天は天候の事。実際に戦う場合、天候の問題はとても大切だ。雪が降っているか、晴れているかで大分違う。特に昔は陸戦だけだったのだから、より影響をうけたと思われる。地はそのまま地理の条件の事。戦場までの距離、戦地の広さ、山の上か下かなど当然知らなければならない情報になるだろう。将は将軍の事で、人材の有能さ、誠実さなどが大事なのは当然。法は軍政に関する事で、軍規が腐敗せず機能しているか等の諸問題を指す。

自分がリーダーとなって戦争すると思って考えて欲しい。軍隊の士気や連帯感は高いか?天候はどうだ?地理的な条件は問題ないか?人材はそろっているか?軍の作戦実行能力に不備はなさそうか?これくらいは当然考えるだろう。それを道天地将法と言っている。孫子から教わろうとするのではなく、自分ならどうすると考えれば当たり前の事を言っているだけである。

ビジネスで言えば、社長の考えや経営方針が末端の社員まで浸透しているか、有能な人材が育っているか、会社へのアクセスの利便性はいいか、盗みや空出張など社内の腐敗をチェックする機能はしっかり運営されているか言う事になる。



3、戦力の7つの基本条件を比較せよ。

  • 君主はどちらが立派か
  • 将帥はとちらが有能か
  • 天の時、地の利はどちらが優利か
  • 法令はどちらが徹底しているか
  • 軍隊はどちらが精強か
  • 兵卒はとちらが屈強か
  • 賞罰はどちらが公正か


5つの基本問題をより具体的に比較してみるという話になる。戦争は政治が決定するが、その政治は自分と相手の何方が優れているか?政治の腐敗はどうだ?篭絡できる政治家はいるか?また、自らの陣営はどうだ?すでに篭絡されていないか?こう言った事をしっかり把握する事は大切である。戦争は政治がはじめ、政治が終わらせる。戦争は所詮政治の一部なのだから。

天の利、地の利がどちらにあるかは当然把握したい処だし、どちらの軍隊の装備が優れていて、兵の訓練度の差なども戦力分析に欠かせない。兵の賞罰が公正に行われているかは、軍隊の士気に影響がでるから何方がしっかり行われているか見るのでは無いか?戦争として考える場合は、この7つのポイントごとに調略戦が行われるとも言え、自らはされて無いかというチェックポイントともなる。

ビジネスで考えるなら、他社との比較検討の上、他社の素晴らしい点を把握するのに利用したい。あの会社が業績が良いのは、こういう良い処があるからだと思えるようになれば、自分の会社も上向きになる事だろう。よく悪い処ばかり指摘する人がいるが、他社が業績いいのは悪い処ではなく、良い処が故である。悪い処を見つけても全く意味が無い事にも触れて置く。業績をあげたいなら、相手の良い処を盗むことを心がけ、賛美するくらいが調度良い。随喜功徳を忘れずに。






---- 以下、余談 ----


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