2017年11月5日日曜日

孫子の兵法 地形編その5

5、兵を知る者は動いて迷わず

孫子曰く。「吾が卒の以て撃つべきを知るも、敵の撃つべからざるを知らざれは、勝の半ばなり。敵の撃つべきを知るも、吾が卒の以って撃つべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。敵の撃つべきを知り、吾が卒の以て撃つべきを知るも、地形の以て戦うべからざるを知らざるは、勝の半ばなり。故に兵を知る者は、動いて迷わず、挙げて窮せず。故に曰く、彼れを知り、己れを知れば、勝、乃ち殆うからず。天を知りて地を知れば、勝、乃ち窮まらず。」



【解説】

孫子曰く。「我が兵(卒)に攻撃するべき態勢が整っても(知)、攻撃するべきでない敵かどうかを知らないなら、勝つ可能性は半分である。敵方を見て攻撃するべきと判断しても(知)、我が兵(卒)が攻撃するべきでない態勢かどうかを知らなければ、勝つ可能性は半分である。敵方を見て攻撃するべきと分かり、我が兵(卒)に攻撃するべき態勢が整っていても(知)、戦うべきでない地形かどうかを知らなければ、勝つ可能性は半分である。

故に兵法に精通(知)している者は、動いてから迷う事は無いし、挙兵してから窮地に追い込まれる事もない。だから言うのである。敵を知り、己を知れば、勝ちが危(殆)い事は無い。天候を把握し、地形の状態を把握するならば、勝ちに困窮することは無いと。」






自分がどんなに最善をつくしても、相手の状態を知らなければ勝てるかは分からない。相手が自分より強い場合もあるし、相手が自分より弱い場合もあるからだ。それが分からない以上、この2択のうちどちらか、つまり5分である。逆も然り。相手の状態を見て弱いと思っても、自分がそれより弱い可能性もあろう。それが分からない以上、結局は5分である。己を知り、敵を知るからこそ、正確な見通しが立つのである。何方かが欠けて良いわけでは無いと、孫子は言う。

そして、相手の状態が攻め時であり、自分も攻めれる態勢が整っていても、地形の状態が分からなければ勝敗は5分である。戦力が優勢でも地の利が相手にあるために負ける事もあるし、戦力が劣勢でも地の利があったために勝つ事もあるからだ。

兵法に精通した者は、自分を知り、相手を知り、地形を知り、天候をも味方につける。これらを予め計算した上で動くから、動いた後で迷う事は無いし、挙兵後に窮地に追い込まれる事も無い。勝ちと分かった上で全てなされているからである。兵法に長けた者にとって戦争は詰み将棋のようなものであり、相手がどう動こうと詰んでいるから迷わないし、追い込まれもしない。

最近はトランプ大統領が来日し、いよいよ北朝鮮情勢も大詰めとなってきたが、何故彼らが攻めれないのかを考えて見よう。その一つは戦後処理にある。北朝鮮を崩壊させるまでなら、アメリカの軍事力をもってすれば雑作も無い。だが、北朝鮮を崩壊させた後、その国民はどうするのだろう?ここが問題となる。

まさか飢えさせて殺すわけにもいかないため、何処かの国ないし、国連で保護するわけだが、そのお金の工面はどうする?北朝鮮の国民は2千万人もいるのだ。大変な費用負担となる。このように、戦争難民の問題一つとっても北朝鮮をただ倒せば良いと言う訳にはいかないのだ。ひと昔前なら攻め滅ぼして奴隷にするなり、孫子の時代なら皆殺しも普通にあったわけだが、今の時代にそれをやると国際的批判がやまないだろう。特に民主主義の国では、選挙を考えればそれはできない。そこで戦後処理も含めた検討が綿密に必要とされるのである。

孫子は兵法に長けた者は戦いが始まってから迷わないし、挙兵した後に窮地に追い込まれる事は無いと言っている。アメリカの今の姿が調度そのイメージに適うかも知れない。何故、迷わないし、追い込まれないのか?微調整はあれど、全て計算ずくだからである。

仕事で考えて見よう。孫子は己を知る事が大切と言っているが、仕事でも同じであろう。自分が他人からはどう見えていると言う部分を知っておいたほうが、役に立つ事はある。では、どうやったら知れるだろうか?そういう話を紹介したい。

面白いもので、自分で自分の長所や短所を考えると、他人が考えるそれとは違くなる。例えば、自分が短所だと思って嫌で嫌で仕方なかった点が、他人からはとても魅力的なポイントだったりする。人は短所によって愛され、長所によって尊敬される。短所こそが貴方を魅力的にしてたりするのだ。短所だと思っている所は、本当に短所なのか?恐らく違うだろう。

さて、それはさておき、どうしたら本当の自分を知れるだろうか?結論を言うと、親に聞くのが良いそうだ。親は子共の事は小さい頃からよく見ている。貴方の事を良く知っているのである。3つ子の魂100までとは良く言ったもので、人間は年をとっても小さい頃の面影があるもの。親が悪いと思ってる点が、恐らくは貴方の短所となるだろう。貴方は小さい頃はこういう子共でと言う話がでたら、そこは良くチェックしたほうが良い。その話題に他人から見た貴方が現れるのである。(長所も同じ)

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