2016年8月13日土曜日

ある大工の失敗談

ある処に高名な大工がいた。その大工も高齢になり引退を考えるような時期がきていて、もう仕事を引退して妻とのんびりしようと思っていたそうな。そこに、家を建てる依頼が来たのだと言う。大工はもう引退だからと断ろうとしたが、個人的なお願いという事でしぶしぶ仕事を引き受けたのだそうだ。

だが、高名な大工はやる気が無かった。もう引退と心に決めていたからかも知れない。材料は粗悪なものを使い、工事も手を抜いた。腕が良いと有名な大工にふさわしくない手抜き仕事で家を完成させたのだ。本来、高名な大工の最後の仕事なのだ。さぞ立派に作り上げるだろうと思うわけだが、その大工も魔がさしたのであろう。もうこれから先大工をしないのだし、手抜きでいいかと考えてしまった。

家の引き渡しの日、依頼主に家が完成しましたと報告した処、依頼主が思わぬ行動にでた。依頼主は喜ぶわけでも無く、家の出来を調べるでも無く、単に家のカギをその大工に手渡したのだ。そして言った。この家は私から貴方へのプレゼントですと。その言葉を聞いた大工は恥ずかしかったそうだ。自分がもう引退だからと手抜きで作った家は、自分の家だったからだ。

この話は他人事では無い。自分たちの日々を思い返してみよう。もう少し頑張ればと言う所で諦めてたり、明日やれば良いと今日を手抜きしていないか?自分たちは日々自分の住む家を作っているようなものだ。大工の家は貴方の人生の例え。思い返すキッカケになれば嬉しい。自分は考えさせられた。

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