2016年7月3日日曜日

リーダーのあるべき姿

求められるリーダー像として、今回は近衛文麿の話を紹介する。近衛公は部下をつれて芸者遊びをする時は、一番の綺麗どころを部下に与えたと言う。自分には、客につけず入口に待機している、綺麗と言えない女を呼ぶ。そして、いつもは声すらかからない女は、近衛公に酒をつがれ感動しまうのだそうだ。

近衛公は日本有数の名門の出自で、総理大臣を歴任し、昭和天皇とも対等に話せたとされる時の権力者だ。その彼が自分は余りものとなる芸者を側において、部下を楽しませようとしている。これが其処ら辺の地方の議員なら、一番の綺麗どころは自分の隣に抱え、自慢話に花を咲かせるだろう。自分が部下になった気持で考えて欲しい。近衛公のようにされたら、恐縮してしまわないか?

松下幸之助が頼まれ地方議員をやった事があったと言う。ある時、先輩議員に連れられ早めの昼飯を食べる事になった。入った店で先輩議員がいつものをくれと言い、特製の豪勢なランチが頼もうとしたのだとか。そして、お前もどうだと薦めてきた。普通の人なら議員になって良かったと、喜んで馳走になったに違いない。だが、松下幸之助は違った。

幸之助曰く、今の時間は会社の部下がまだ働いております。それを、自分だけが豪勢な食事を頂いては申し訳ない。だから、遠慮すると言うのだ。この言葉を聞いた、その先輩議員は自分の仰ぐべき人間はこの人だと、幸之助の会社に入社してしまったと言う。

リーダー像は色々あり、これが正解というものは無いかも知れない。だが、部下の心の琴線に触れるリーダーでなければ、大きくは飛べない。近衛公と松下幸之助のやり方から、何か得られるものがあれば嬉しい。



---- 以下、余談 ----

ホテル・リッツカールトンでは、従業員の待合室に一番良い部屋を割り当てると言う。普通は客に一番良い部屋をあて、従業員には日当たりの悪い客用にはできない部屋を用意する。リッツカールトンの従業員への気配りと近衛公の話が被る気がしないか?


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