2016年7月18日月曜日

恩送り

読者は恩送りという言葉を聞いた事があるだろうか?恩返し、恩知らずは良く聞く言葉だが、恩送りはあまり聞かないように思う。恩送りとは、受けた恩を違う誰かに返す事。例えば、受けた恩を返そうにも、すでに死んでいて返せない事がある。その時に、その受けた恩をその人の子に返してあげたり、全く知らない誰かに返す事を恩送りと言う。

自分はそういう事が恰好良い事と聞かされて育ったため、恩送りは美しいと思えてしまうが、もしそう思えなくても、これを機に恩という言葉を大事にすると良いかも知れない。人間関係は結局は恩のやり取りに過ぎないのだから。

昔、アメリカで銃乱射事件があった時、犯人の侵入を防ぐために、ドアを一人のユダヤ人教師がふさいだのだそうだ。教師は犯人に銃殺されてしまったが、その教師のお陰で生徒は窓から無事逃げる事ができた。ユダヤ人教師はホロコーストの大虐殺を生き延びた経験があるらしく、同じ思いを生徒に味あわせたくなかったのだろうとの事。

政治家の世界でも恩送りはある。小泉純一郎が、安倍晋三を後継者に育てたという話も恩送りの一例だろうと思う。小沢一郎が田中角栄から受けた恩を、田中真紀子を大臣にする事で返していたり、注目してみると力がある政治家はしっかり恩を送っているものだ。

恩を返すから、恩を送る人だから、その人に信望が集まりやすくなるという側面はあるにせよ、受けた恩は返すという心構えは美しいように思う。かくありたいものだ。今日はそんな事を考えた。


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