2019年12月6日金曜日

里仁 第四 26

【口語訳26】

訳文を2つ示す。

1、子游がおっしゃった。君主とすぐ親しくなろうとすると、嫌われて恥をかく。友人とすぐ親しくなろうとすると、返って疎まれる。

2、子游がおっしゃった。君主への忠言もしばしばするなら、嫌われて恥をかく。友人への忠告もしばしばするなら、返って疎まれる。



【解説】

例えば、こちらは親しくなりたいと思っていても、相手がそう思っているかは分からない。相手がそう思っていないならば、親しくなろうとするほど嫌われるし、疎まれるのは当然だ。この点を無視してはいけない。故にすぐに親しくなろうとすると急がば回れになると言うのが今回の話の趣旨である。特に初対面の内は手探りの部分があり、相手も多少の警戒心を持っている。そこをすぐに親しくなろうとすれば、相手は警戒するばかりで、親しくなるばかりか無礼と思う事だろう。だから、相手と親しくなりたいならば、まずは礼儀を正す。そして、徐々に相手との呼吸を合わせ打ち解けていくのが王道だ。また、後段の忠言、忠告は言わば駄目だしであるから、駄目をだされて気持ちの良い人間はいない。しばしば出すならば、嫌われて疎まれるのは当然である。

なお、孔子一向が目指していた官僚と言う視点で言うと、特に王との関係には注意が必要で、王とすぐに親しくなろうとすれば、他の官僚の鼻につく。王に嫌われるという視点だけでなく、他の官僚にも嫌われる事に注意しなければならない。仲間内で嫌われればある事ない事吹聴されるし、足を引っ張られ出世はおぼつかない。これは現代社会でも応用の効く知恵ではなかろうか?やはり抜け駆けなど考えず、筋を通すのが一番良いのである。




【参考】

人間関係でまず礼儀を正すのは、正さずに恥をかく事はあっても、正して恥をかくことは無いから。学而13が参考になる。

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