2019年12月18日水曜日

観音経 普門偈 その8

【原文】

或遇悪羅刹 毒竜諸鬼等 念彼観音力 時悉不敢害



【和訳】

或いは悪羅刹、毒竜、諸々の鬼等に遇おうとも、彼の観音の力を念ずるならば、時に悉く敢えて害とならない。



【解説】

観音様に従って生きているような人は、自然と日頃の行いが良くなる。すると、不思議ともめごとの蚊帳の外に置かれる事が多くなる。悪人(悪羅刹、毒竜、諸々の鬼等)も絡む人は選ぶ。わざわざ日頃の行いの良い人を選んで絡んだりはしないものだ。だから、悉く敢えて害とならない。

また、悪羅刹は人を喰らう喰人鬼の意味で転じて人を食ったような態度の例え、毒竜や諸々の鬼は色欲や名利欲の例えでもある。生きていれば小馬鹿にされて嫌な思いをする時もあるし、時には色欲や名利欲にかられ心が揺れるときもある。だが、生き方の根本にしっかりとした信心があるならば、小馬鹿にされても治すべき欠点を教わったとなるし、色欲や名利欲にかられても慎ましく羽目を外す事は無い。そのような人物にあっては、時に悉く敢えて害とならないのは当然となる。彼の観音の力を念ずるとは、つまり、常に観音様ならどうするかと考え、それに従う事に他ならない。





【語句の説明】

1、悉は、ことごとく。

2、敢は、あえて。

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