2017年10月6日金曜日

孫子の兵法 軍争編その4

4、疾きこと風の如し

孫子曰く。「故に疾きこと風のごとく、その徐かなること林のごとく、侵掠すること火のごとく、動かざること山のごとく、知りがたきこと陰のごとく、動くこと雷霆のごとし。郷を掠むるには衆を分かち、地を廓むるには利を分かち、権を懸けて動く。迂直の計を先知する者は勝つ。これ軍争の法なり。」



【解説】

(実際の軍の行動に関して)

孫子曰く。「故にその速度は風を思わせ、静(徐)かならば林を思わせ、侵略(掠)するならば火を思わせる。動かそうにも山のように動かず、情報を得ようにも暗闇(陰)のように分からず、動くなら激しい雷(雷霆)を思わせる。

村落を略奪(掠)する時は軍(衆)から分隊を派遣し、地を広(廓)める時は守備として残る者との間で役割分担(利を分かち)をはっきりさせ、権謀を巡らせ(権を懸けて)動かねばならない。そして、迂直の計で先んじた者が勝つ。これが軍争というものである。」




ここは武田信玄公の風林火山の旗で有名な一説だが、理想的な軍の在り方を自然現象に例えている。その移動は風のごとき速さで、待機している時の静けさと来たら林を思わせる。火が全てを燃やすように略奪したかと思えば、守りに入れば山のように動かない。スパイを送り込んでも暗闇を見るように実態が見えないし、動く時には雷のごとき存在感を見せる。軍はかくありたいものと、孫子は言うのである。

そして、村から物資を略奪し補給の負担を軽減するにも、領地を広めるにも、よく考えてから行動しなくてはならない。軍全体で、例えば10万の兵で村に行く必要はないわけで、10万も連れて行けば動きが大掛かりになるし、つけ入る隙も生じる。主力は敵の動きを牽制しつつ、村には分隊にいかせるのが良い。領地を広げにいく場合も、今持っている領地をいなくなった隙に奪われないように守備隊を置く。そして、仕事が混乱しないよう、領地を広げる役と今ある領地を守る役の役割分担をしっかりするのが良い。

こういった心配りは当然するべきで、何をするにも権謀を巡らせ慎重に判断しなくてはいけない。その上で、迂直の計で先んじる事が軍争の勝利につながる事を肝に銘じよと言うのが、後段の説明となる。

仕事で考えて見よう。武田信玄が風林火山の旗を立て自分を戒めたように、自分なりのチェックポイントを作ると良いかも知れない。会社なら会社のあるべき理想を10か条にまとめる。自分なら自分で日々みなおすべきチェックポイントを10か条にまとめて見る。数字は適当だが、そのチェックポイントを夜寝る前に見直すのは、己を成長させる良い方法である。

初心忘れるべからずと言うが、初心は意識していないと忘れてしまうもの。自分はどういう方向で進むんだったか、チェックポイントとして書き記し日々見直す事で軌道修正する。武田信玄公ですら、自らの旗印に書いていたのである。あやかると思って、常に意識できるようにしたいものである。日々、目標を目にすることで、目標が意識に残る。そうすると、自然と達成しやすくなるのだ。



一日のチェックポイント(具体例)

  1. 誠実に過ごせたか?
  2. 感謝できたか?
  3. 笑顔は忘れなかったか?
  4. 優しい言葉をかけられたか?
  5. 親切にできたか?
  6. 奉仕したか?
  7. 愚痴や、不平不満を言わなかったか?
  8. 傲慢にならなかったか?
  9. 悪口を言わなかったか?
  10. 調和を重んじたか?

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