2017年10月19日木曜日

孫子の兵法 九変編その4

4、吾の以って待つ有ることを恃む

孫子曰く。「故に兵を用うるの法、その来たらざるを恃むことなく、吾の以って待つ有ることを恃むなり。その攻めざるを恃むことなく、吾が攻むべからざる所有るを恃むなり。」



【解説】

孫子曰く。「故に用兵では、敵が来ない事に期待(恃む)するのではなく、敵がいつ来ても良い備え(待つ有る)をする(恃む)。敵の攻撃が無い事に期待(恃む)するのではなく、敵が攻撃できないような態勢(攻むべからざる所)を整える(恃む)。」






核による抑止力を考えて見よう。実際どうかはさておき、核保有国同士の戦争は被害が大きすぎるため、戦争にならないと言われているだろう。戦争をして、戦争する前より貧しくなるのでは命を懸けた甲斐が無い。およそ全ての人はそう考えるために、戦争したくないなら、核による抑止力を働かせるのが一番効果的と考えられてきた。そして、この理由から色々な国が核の保有を競ってきたし、これから日本で核保有の議論が再燃しそうなのである。

孫子が言っている内容も、これと同じである。敵が攻めてくるか悩むなら、敵が攻めて来れない状況を作ってしまったほうが良い。ただ、それでも攻めて来て、攻撃を仕掛けるかも知れない。それならば、敵が攻撃を仕掛けられない状況を作っておくのが良いわけだ。文字通り、備えあれば憂い無しである。

そして、これが守りだけでなく、外交上も有利に働く事も知っておきたい。外交で強くでるには、軍事力が大切である。外交上の基本言語は2つしかなく、一つはお金、もう一つは軍事力である。国ごとに文化や常識が異なるため、その中で会話するとなると、お金と軍事力しか現実の交渉の手段は無いのだ。

相手の国より軍事力が勝ると、相手は戦争になったら困ると考えるため、自然と劣位に立つ。例えば、そこをお金という利で釣っていくのである。戦っては負ける相手がお金をくれるとなれば、しょうがいと妥協したくなるのが人情であろう。このように、抑止力は交渉力を担保するのである。孫子は希望的観測を捨て、現実に対応する大切さを説いているが、実はそれが外交力にもつながる。外交力につながれば、戦わずして勝ち安くもなるのである。防御と外交力の両面から抑えて欲しい。

仕事で考えて見よう。寝る前に、明日する事をイメージしておくと良いという話がある。寝る前に明日する事を予習し、ここも大事なポイントだが、良いイメージを作ってから寝る。その日になって何したら良いか考えるくらいなら、寝る前に準備をしておく。こういう一手間が差になったりするものである。

また、午前中は結果出す時間帯で、午後は明日の準備をする時間帯という話がある。午前中は頭の動きが良いとされる時間帯だ。その時にしっかり結果を出し上司の機嫌を取る。では、午後は何をするかと言うと、明日結果を出す準備をするのである。職種によっては、午後に結果がでないと怒られるだろう。だが、すいませんと謝りながら、明日の準備をしておくのである。そういうズル賢さを身に着けると、結果がコンスタントにでるようになり、信頼される人材になるだろう。

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