3、近づいてはならぬ地形
孫子曰く。「およそ地に絶澗、天井、天牢、天羅、天陥、天隙あらば、必ず亟かにこれを去りて近づくことなかれ。吾はこれに遠ざかり、敵はこれに近づかしめよ。吾はこれを迎え、敵にはこれに背にせしめよ。軍行に険阻、潢井、葭葦、山林、蘙薈あらば、必ず謹んでこれを覆索せよ。これ伏姦の処る所なり。」
【解説】
孫子曰く。「およそ地に絶澗、天井、天牢、天羅、天陥、天隙があるなら、必ず速(亟)やかに離(去)れ近づいてはならない。自軍(吾)はここから遠ざかり、敵がこれに近づくように仕向けると良い。そして、近づいた敵を向かい撃ち(迎)、敵の背後にこれらの地が来るようにする。行軍する際は、険阻、潢井、葭葦、山林、蘙薈があるならば、必ず良く調べる(覆索)。ここが敵の伏兵(伏姦)が潜む場所となる。」
結論を言うと、絶対的に不利となる地形がいくつかあって、そこに敵を誘うと勝ちやすいという話をしている。イメージとしては、絶対的に不利な地形に敵を押し込むであるとか、敵の逃げ道をそこだけにするといった話となろう。絶対的に不利となる地形と自軍で、敵を挟み撃ちにすると勝ちやすいと、孫子は言っている。
敵より有利な場所を確保する方法は2つある。一つはより有利な場所を見つけて、敵より早く占拠する事。もう一つは、敵をより不利な場所に追い込む事である。今回は後者の説明をしている。例えば、落とし穴に腰まで入った敵と戦う事や、溺れた者と戦う事を想像して欲しい。容易く勝てると思わないか?
また、行軍する際の注意点については、人が隠れられそうな場所はしっかり調べろという事だ。人が隠れられるなら、そこに伏兵は潜んでいる。そういう心掛けが大切だという事に尽きよう。戦争は騙し合いであり、戦争の勝敗を決めるのは大概はスパイである。そのスパイに情報を取らせない事はとても大切なのである。なお、織田信長は上杉謙信にスパイを幾人も送ったが、一人も帰ってこなかったという逸話がある。上杉謙信がどう判別していたのかはさておき、名将はスパイ対策もしっかりしているのだ。以下、孫子の指摘している様々な地形について説明しておく。
その1、絶澗
その2、天井
深く落ち込んだ窪地の事。
その3、天牢
山や川で作られた天然の牢獄。
その4、天羅
草木が密集し、行動が困難な場所。
その5、天陥
湿潤の低地で、通行困難な場所。
その6、天隙
天然の隙間の事。
画像をつけたが、間違っているかも知れない。イメージの補完として、役立てて欲しい。だが、こういった場所に追い詰められれば、例えば弓などの飛び道具も撃ちやすいし、今なら手りゅう弾等の良い的だろう。相手を不利な位置に追い込む事も、地の利となる事を確認したい。有利、不利は敵との相対的な問題なのである。
その7、険阻
地勢の険しい様の事。
その8、潢井(こうせい)
池や窪地の事。
その9、葭葦(かい)
芦原の事。
その10、山林
その11、蘙薈(えいわい)
背丈の高い草木の事。
画像のような場所は、スパイが潜みやすい。だから、スパイがいる前提で良く調べなさいと、孫子は言っている。戦争の勝敗は、戦争をする前の情報戦で決まる。風林火山陰雷の言葉にある通り、まるで暗闇のように何も分からない軍が理想という話を思い出して欲しい。知り難きこと陰のごとしだ。
仕事で考えて見よう。孫子は自軍が不利になる地形からは速やかに離れるのが良いと、様々な地形を紹介しているが、これは人間関係で言える事だ。いつも愚痴ばかりの人からは速やかに離れたほうが良いし、いつも悲観的な暗い人間とは一緒にいないほうが良い。不平不満だらけの人はどうだ?悪口が好きな人はどうだ?嘘をつく人間はどうだ?こういう人間が、孫子が言う不利な地形であろう。危うきに近寄らず、触らぬ神に祟り無しである。
では、どういう人と一緒にいたら良いか?勿論、いつも笑顔の明るい人である。考え方がポジティブな人である。愚痴など言わない人である。孫子流に言えば、地の利が得られると言えよう。
孫子曰く。「およそ地に絶澗、天井、天牢、天羅、天陥、天隙あらば、必ず亟かにこれを去りて近づくことなかれ。吾はこれに遠ざかり、敵はこれに近づかしめよ。吾はこれを迎え、敵にはこれに背にせしめよ。軍行に険阻、潢井、葭葦、山林、蘙薈あらば、必ず謹んでこれを覆索せよ。これ伏姦の処る所なり。」
【解説】
孫子曰く。「およそ地に絶澗、天井、天牢、天羅、天陥、天隙があるなら、必ず速(亟)やかに離(去)れ近づいてはならない。自軍(吾)はここから遠ざかり、敵がこれに近づくように仕向けると良い。そして、近づいた敵を向かい撃ち(迎)、敵の背後にこれらの地が来るようにする。行軍する際は、険阻、潢井、葭葦、山林、蘙薈があるならば、必ず良く調べる(覆索)。ここが敵の伏兵(伏姦)が潜む場所となる。」
結論を言うと、絶対的に不利となる地形がいくつかあって、そこに敵を誘うと勝ちやすいという話をしている。イメージとしては、絶対的に不利な地形に敵を押し込むであるとか、敵の逃げ道をそこだけにするといった話となろう。絶対的に不利となる地形と自軍で、敵を挟み撃ちにすると勝ちやすいと、孫子は言っている。
敵より有利な場所を確保する方法は2つある。一つはより有利な場所を見つけて、敵より早く占拠する事。もう一つは、敵をより不利な場所に追い込む事である。今回は後者の説明をしている。例えば、落とし穴に腰まで入った敵と戦う事や、溺れた者と戦う事を想像して欲しい。容易く勝てると思わないか?
また、行軍する際の注意点については、人が隠れられそうな場所はしっかり調べろという事だ。人が隠れられるなら、そこに伏兵は潜んでいる。そういう心掛けが大切だという事に尽きよう。戦争は騙し合いであり、戦争の勝敗を決めるのは大概はスパイである。そのスパイに情報を取らせない事はとても大切なのである。なお、織田信長は上杉謙信にスパイを幾人も送ったが、一人も帰ってこなかったという逸話がある。上杉謙信がどう判別していたのかはさておき、名将はスパイ対策もしっかりしているのだ。以下、孫子の指摘している様々な地形について説明しておく。
その1、絶澗
絶壁に囲まれた谷間の事。
その2、天井
深く落ち込んだ窪地の事。
その3、天牢
山や川で作られた天然の牢獄。
その4、天羅
草木が密集し、行動が困難な場所。
その5、天陥
湿潤の低地で、通行困難な場所。
その6、天隙
天然の隙間の事。
画像をつけたが、間違っているかも知れない。イメージの補完として、役立てて欲しい。だが、こういった場所に追い詰められれば、例えば弓などの飛び道具も撃ちやすいし、今なら手りゅう弾等の良い的だろう。相手を不利な位置に追い込む事も、地の利となる事を確認したい。有利、不利は敵との相対的な問題なのである。
その7、険阻
地勢の険しい様の事。
その8、潢井(こうせい)
池や窪地の事。
その9、葭葦(かい)
芦原の事。
その10、山林
その11、蘙薈(えいわい)
背丈の高い草木の事。
画像のような場所は、スパイが潜みやすい。だから、スパイがいる前提で良く調べなさいと、孫子は言っている。戦争の勝敗は、戦争をする前の情報戦で決まる。風林火山陰雷の言葉にある通り、まるで暗闇のように何も分からない軍が理想という話を思い出して欲しい。知り難きこと陰のごとしだ。
仕事で考えて見よう。孫子は自軍が不利になる地形からは速やかに離れるのが良いと、様々な地形を紹介しているが、これは人間関係で言える事だ。いつも愚痴ばかりの人からは速やかに離れたほうが良いし、いつも悲観的な暗い人間とは一緒にいないほうが良い。不平不満だらけの人はどうだ?悪口が好きな人はどうだ?嘘をつく人間はどうだ?こういう人間が、孫子が言う不利な地形であろう。危うきに近寄らず、触らぬ神に祟り無しである。
では、どういう人と一緒にいたら良いか?勿論、いつも笑顔の明るい人である。考え方がポジティブな人である。愚痴など言わない人である。孫子流に言えば、地の利が得られると言えよう。
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