2019年11月10日日曜日

里仁 第四 14

【口語訳14】

孔子先生がおっしゃった。地位が無いからと言って嘆かない。地位にふさわしい実力があるかを心配する。知られないからと言って嘆かない。知られるような実力をつける事を求める。



【解説】

地位は結局のところ、運否天賦の世界である。地位にふさわしい実力があれば地位を得られるかと言うと、その実力を妬む者が上にいれば、邪魔をされて不遇に追いやられる。逆に、実力が無くても、その実力が無い事を上が気に入れば、厚遇されて出世してしまう。それが世の中だ。上がどのような人物であるかは巡り合わせとしか言いようがなく、まさに天のみぞ知る世界であるから、地位が無い事を嘆いても仕方がない。人間に出来る事は、少なくても地位が与えられた時に、その地位にふさわしい実力が備わっているようにして置くに尽きる。そうしている内に、上が変わってしまうというのも世の中なのだから。故に、地位を嘆くより、地位にふさわしい実力を心配したほうが良いと言う。

知られないからと言って嘆かないのは、世の中は知られれば良いと決まったものでもないから。実力が無いうちに世に知られれば、あるいは名折れとなる事も考えられる。名折れとなっては、失った信用を取り戻さなければならないと言う意味で、零どころかマイナスからのスタートとなってしまう。知られないから良かったという事もあるのである。大切な事は、自分に都合の良い事だけを考えず、公平に都合の悪い事も想定する事である。そうすれば、知られない事を嘆いても仕方ないと分かる。世に知られるかどうかは、やはり天の範疇であるから、人事を尽くして天命を待つが最良の選択肢なのである。故に、知られないからと言って嘆かず、実力をつける事に専念すると言う。

また、他の解釈として、君子は愚痴を言わないと考えても良いだろう。



【参考】

学而16と同じ内容の模様。学而16の解説も合わせてどうぞ。

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