2017年12月6日水曜日

天津祝詞 

天津祝詞は祝詞を奏上する時、まず初めに奏上する祝詞となる。神道の各宗派によって採用する天津祝詞は異なるようだが、一番一般的な祝詞を紹介する。個人的には大祓祝詞の簡略版と言うイメージを持っている。

天津祝詞 ⇒ 大祓祝詞 ⇒ 神棚拝詞




【天津祝詞】

高天原に神留坐す

神魯岐神魯美(かむろぎかむろみ)の命以て

皇御租神伊邪那岐命(すめみおやかむいざなぎのみこと) 

筑紫の日向(ひむか)の橘の小戸(おど)の阿波岐原(あわぎはら)に

御禊(みそぎ)祓(はら)ひ給ふ時に生坐(なりませ)る祓戸(はらへど)の大神等


諸々の枉事(まがこと)罪穢(つみけがれ)を祓ひ賜え

清め賜えと申す事の由を

天津神(あまつかみ)国津神(くにつかみ)八百万の神等と共に

天の斑駒(ふちこま)の耳振り立てて聞食せと

恐み恐みも白す




【解説】

先ず訳文から。

「高天原におられます神魯岐(かむろぎ)、神魯美(かむろみ)よ。親神である伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、筑紫日向の橘の小戸の阿波岐原で禊祓(みそぎはらえ)し時に生まれた祓戸を守る神達よ。

世に諸々の枉事(まがこと)や罪穢(つみけがれ)があふれております。真に恐れ多い事ながら、どうか祓い清めいただけないでしょうか?天上の神、地上の神、八百万の神達と共に、天の斑駒(ふちこま)の耳振り立てて、この願いをお聞き届けください。」

自分が奏上する時は、難しい事は考えていない。自分がイメージする神々は、太陽と身の回りの自然であるため、奏上するときは太陽と自然にお願いするイメージをもつ。世の中にあふれる悩みや苦しみを、天地自然にお願いして取り払う祝詞だと考えている。解釈は人によって変わるようなので、自分なりの解釈をすれば良いはずだ。






---- 以下、余談 ----

1、神魯岐(かむろぎ)、神魯美(かむろみ)は、それぞれ高御産巣日神(たかみむすびのかみ)と神産巣日神(かむむすびのかみ)の事のようだ。

2、「筑紫日向の橘の小戸の阿波岐原」の解釈は大きく2つあるようで、福岡県だとする説と宮崎県だとする説がある。ただ、大切な事は神々に罪穢れを払ってもらう事なので、場所が何処かという問題は何方でも良いと思う。

3、祓戸(はらへど)の大神は、黄泉の国からもどった伊邪那岐命が川で禊祓した時に生まれた神達を言う。その時に天照大神も含めた色々な神が生まれるのだが、その全ての神々を指すかというと違うようだ。具体的には瀬織津比賣(せおりつひめ)、速開都比賣(はやあきつひめ)、気吹戸主(いぶきどぬし)、速佐須良比賣(はやさすらひめ)と言われている。

4、天の斑駒(ふちこま)は高天原にいる斑模様の馬のようだ。その耳を振り立てるとは、注意して聞くという意味となる。馬は初めてのものや、不慣れなものに接する時、耳を前に向け振り立てる。その様子を言っているのだろう。なお、馬がリラックスするときは耳を横にむけ、威嚇する時は耳を後ろに伏せる。

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