2017年8月31日木曜日

般若心経の解説 その4

(その3に引き続き、色即是空を説明する)

前回は水を例にして説明したが、例えば人間を考える。人間は死ねば火葬場に送られ焼かれるが、果たして人間は死んだのだろうか?勿論、人の形は成す事はできなくなったが、その人を構成した水分は空気中にばら撒かれただけである。肉はどうだ?灰になり、匂いとなりやはり形こそ変われど無くなったわけでは無い。その人を構成していた物質は何一つ損なわれていないのに、本当にその人は死んだのだろうか?

人は死んだあと空となるのである。人間は空気を人の死骸として認識はしていないが、実際は人の死骸だったものを吸っているのである。そして、これは人に限ったわけでは無い。動物も死ねば空となるし、植物も朽ちて最後は空となる。山ですら長い時間の間には風化し、海を埋め立て平野を作る。大理石の建物として有名なピラミッドですら、2500万年後には風化してなくなると言われている。ありとあらゆる物が風化し、やがて空になるのである。

我々は何を見ても、それは元々あると考えている。石をみても、川をみても、木をみて元々なかったとは考えない。しかし、本当にそうだろうか?もともと有るものは無くなりはしない。もともと有るのだから無くなることもないのである。しかし、世の中を見れば、ありとあらゆる物が風化し姿を変え、最終的には無くなって行くでは無いか?有るものは無くらないのだから、全てのものは元々無かったのである。

形無きがゆえに一時形を得る事がある。しかし、もともと無いのだから、やがて形は失われ空に帰っていくのだ。空は色となり、色は空となるというイメージがつかめただろうか?この後、まだまだ般若心経は続くが、全てこの色即是空が根本となり話が展開されていく。空と言う概念が分かってるか確認作業を丁寧に行うように話が進むので、しっかり色即是空を掴んでもらえたらと思う。






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